【実務に生きる法律 Part 2】株式会社以外の会社の種類
司法試験に合格後、どのような流れで法曹に巣立っていくのでしょうか?裁判官、検察官、弁護士になるためには、司法試験に合格した後、「司法修習」と呼ばれる研修を受ける必要があります。司法修習を受ける研修生は「司法修習生」と呼ばれ、裁判所、検察庁、法律事務所をめぐり、実際の現場に赴き、生の事件を扱いながら12ヶ月間のOJT研修を受けます。司法試験合格迄に座学で学ぶ法律、と司法修習司法修習で学ぶ法律、どう違うのでしょうか。
本連載では、司法試験史上最年少合格を果たし、69期司法修習生として司法修習を終えたばかりの千葉 悠瑛さんに、初めて実務に触れた「司法修習中」だからこそ、学んだ法律知識について、執筆していただきました。法律を勉強している中で、「この知識って、どう実務に生かされるんだろう?」「実際の生の事件に生かされる法律ってどのようなものなのだろう?」といった疑問をお持ちの方に、ぜひ読んで頂きたいです!第二弾は、【株式会社以外の会社の種類】。日常生活に身近なあの企業の形態とは?!会社法を超えた会社形態に注目です。
司法試験の論文式試験では、商法に関する分野の問題として、株式会社についての問題が頻繁に出題されます。誰もが名前を知っているような大企業の多くは、株式会社のうち公開会社の形態をとっており、また、そのような大企業であっても、サントリーのように非公開会社の形態をとる(サントリー食品インターナショナルは最近上場しましたが、その親会社であるサントリーホールディングスは依然非公開のままです。)ものもあり、公開非公開を問わず、株式会社の仕組みを理解しておくことの重要性はいうまでもありません。
他方で、商法の短答式試験が無くなったこともあり、株式会社以外の会社の形態を学習することは司法試験的にはあまり重要ではなくなっています。もっとも、現実社会では、株式会社以外の形態をとる民間企業も数多く、株式会社以外の会社の形態を学んでおくことも実務上は重要です。
会社法で規定される会社の形態4種
例えば、合同会社は、家族経営などの小さい規模の会社で採用される形態というイメージがありますが、外資系企業の日本法人など、大企業であっても合同会社の形をとっていることがあります。Amazon.comの日本法人であるアマゾンジャパンや、Apple Inc.の日本法人であるApple Japanなどがその例です。合同会社という形態を選択するメリットは、株式会社と比較して設立や運営にかかるコストが低いことや、広範な定款自治が認められ、自由な会社運営が可能なことなどにあります。さらに、米国税法のもとでは、課税上のメリット(パス・スルー課税)もあるため、米系企業の日本法人は特に合同会社であることが多いです。
会社法以外の法律に規定された会社の形態
また、会社法以外の法律に規定された会社の形態を採用している大企業もあります。例えば、保険会社は、保険業法にもとづいて、相互会社という形態をとることが認められています。実際に、日本の大手保険会社のうち、第一生命は株式会社であるのに対し、住友生命、日本生命、明治安田生命は相互会社という形態をとっています。
最後に
保険会社やメーカー、一見どちらも身近な企業なはずなのに、全く別の形態をとっているのは意外な部分ですね。司法試験に置ける学習だけでなく、一般生活においても役立ちそうな会社法豆知識。是非、多角的な視点で会社法の理解を進めてみて下さい。次回の連載は、【公判前整理手続について】!乞うご期待ください。
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