【実務に生きる法律 Part 3】公判前整理手続について

   司法試験に合格後、どのような流れで法曹に巣立っていくのでしょうか?裁判官、検察官、弁護士になるためには、司法試験に合格した後、「司法修習」と呼ばれる研修を受ける必要があります。司法修習を受ける研修生は「司法修習生」と呼ばれ、裁判所、検察庁、法律事務所をめぐり、実際の現場に赴き、生の事件を扱いながら12ヶ月間のOJT研修を受けます。司法試験合格迄に座学で学ぶ法律、と司法修習司法修習で学ぶ法律、どう違うのでしょうか。


   本連載では、司法試験史上最年少合格を果たし、69期司法修習生として司法修習を終えたばかりの千葉 悠瑛さんに、初めて実務に触れた「司法修習中」だからこそ、学んだ法律知識について、執筆していただきました。法律を勉強している中で、「この知識って、どう実務に生かされるんだろう?」「実際の生の事件に生かされる法律ってどのようなものなのだろう?」といった疑問をお持ちの方に、ぜひ読んで頂きたいです!第三弾は、【公判前整理手続きについて】。


そもそも公判前整理手続きとは?


   公判前整理手続きとは、最初の公判期日の前に、裁判所・検察官・弁護人が、争点を明確にした上、これを判断するための証拠を厳選し、審理計画を立てることを目的とする手続です。公判前整理手続では、主に3つのことが行われます。 1つ目は、検察官と弁護 人の主張を聴き,真に争いがある点(争点)はどこかを絞り込む作業。公判前整理手続では、これまでよりも広く証拠が開示されるようになり、弁護人が早期に主張を明らかにしやすくなります。 次に、裁判所,検察官,弁護人が一緒になっ て,争点を立証するためにはどのよう な証拠が必要か、それらの証拠をどの ような方法で調べるのが相当か、などを検討します。最後に、公判の日程をどうするか、証拠調べ にはどのくらいの時間を当てるか、証人はいつ尋問するかなど、判決までのスケジュールを立てます。(裁判所HPより引用)


   近年、司法試験や予備試験で、公判前整理手続に関する問題が出題されるようになりました。公判前整理手続は、平成21年に導入された裁判員裁判においては必要的とされており、実務上、裁判員裁判以外の事件でも頻繁に用いられるようになっています。司法試験等での出題は、このような、近年の刑事裁判実務における公判前整理手続の重要性を反映したものといえ、今後も引き続き公判前整理手続に関する問題が出題される可能性が高いでしょう。

 ロースクールには実務系科目が豊富に設置されていますが、学部には実務的な内容を学べる授業が余りないため、予備試験を受験する学部生は、公判前整理手続のイメージを掴むのに苦労をすると思います。

 そこで、公判前整理手続のイメージを掴むための教材として、「プラクティス刑事裁判」(司法研修所刑事裁判教官室編)を読むことをおすすめします。司法修習前の空いている時間で、是非読んでみてください。

最後に


   近年、司法試験や予備試験でも、出題されることが多くなってきた公判前整理手続。実務のイメージをつけながら、司法試験の対策に生かされてはいかがでしょうか?

次回は、最終回。【身柄拘束をめぐる弁護活動について】!ぜひご期待ください。

   千葉さん、お忙しい中コラムの執筆をいただき、ありがとうございました。



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